不動産を売るとき、築何年くらいが一番いいのだろうと迷う方は少なくありません。少しでも高く売りたいと思えば、今売るべきか、数年待つべきか気になるものです。ただ、不動産の売り時は築年数だけで決まるわけではなく、建物の種類や立地、市場の動きなど複数の要素が価格に影響します。
とはいえ、築年数が査定額や買い手の印象を左右する材料であることは確かです。築年数による価格の変化を知っておけば、売却時期を考えるときの目安になります。ここでは、一戸建てとマンションそれぞれの特徴を踏まえながら、売るタイミングを見ていきます。
不動産の売り時と築年数には深い関係がある
不動産価格は立地や広さ、周辺環境などで決まりますが、その中でも築年数は査定額に大きく関わります。建物は時間とともに設備や内装が古くなり、修繕が必要な箇所も増えていきます。そのため、築年数が浅い物件ほど購入希望者からの評価を得やすく、売却価格も維持しやすい傾向があります。
一方で、築年数が古いからといって必ず売れにくくなるわけではありません。駅に近い立地や生活環境が整ったエリアでは、築年数よりも利便性を重視して購入を検討する人もいます。土地としての価値が高い地域では、建物を建て替える前提で購入されるケースもあります。
築年数は売却価格を左右する要素ですが、それだけで売り時を決めず、物件全体の価値を見ながら判断しましょう。
一戸建ては築20年前後が売り時の目安になりやすい
一戸建ては建物と土地を合わせて評価され、築年数が経つにつれて建物部分の価値は徐々に下がっていきます。木造住宅の法定耐用年数は22年とされ、これは税務上の減価償却に使う年数ですが、査定でも建物価値がゼロに近づく一つの目安として意識されます。実際、築10年頃までは比較的価格を維持しやすいものの、その後は下落幅が大きくなることがあります。
さらに築20年前後になると、屋根や外壁、水回り設備の修繕や交換が必要になる時期と重なりやすく、購入希望者も維持費を意識するようになります。その結果、価格交渉が入ったり、売却まで時間がかかったりするケースも少なくありません。
もちろん、すべての一戸建てが築20年を過ぎて価値を大きく落とすわけではありません。定期的に外壁塗装や屋根の補修を行ってきた住宅や、室内を丁寧に使ってきた住宅は、査定でプラスに評価されることがあります。売却を考えているなら、大規模な修繕時期を迎える前に査定を受けておくと、今後の判断がしやすくなるでしょう。
マンションは立地によって価格の下落が緩やかなこともある
マンションは一戸建てと比べて価格の下落が緩やかな傾向があります。特に駅から近い物件や利便性の高いエリアでは中古マンションの需要が続きやすく、築年数が経っても価格が大きく下がらないことがあります。ただし築25年前後になると、大規模修繕工事や設備更新の時期を迎えるマンションも増えてきます。
購入希望者は専有部分だけでなく、共用部分の管理状況や修繕積立金、長期修繕計画も確認するため、管理状態が売却価格に響くことも少なくありません。管理が行き届いたマンションは購入後の安心感につながり、築年数以上の評価を受けることがあります。反対に、修繕計画が十分でなかったり管理状態に不安があったりすると、立地が良くても購入をためらわれます。
マンションでは築年数だけでなく、建物全体の維持管理も売り時を考えるうえで欠かせません。
築5年・10年・20年では買い手の見方も変わる
築年数が変われば、購入希望者が物件に求める条件も少しずつ変化します。同じ住宅でも、経過年数によって買い手が気にする点や、整理しておきたい資料が変わってきます。
| 築年数 | 買い手の見方 | 整理しておきたいこと |
| 築5年前後 | 設備が新しく、リフォーム費用を抑えられると考える人が多く、人気を集めやすい | 目立った不具合がなければ現状がそのまま強みになる |
| 築10年前後 | 状態は良好で、新築との価格差に魅力を感じて中古として検討する人が増える | 新築時の価格や設備仕様が分かる資料 |
| 築20年前後 | 建物の状態に加えて、今後どの程度の修繕費がかかるかを気にする人が増える | 設備交換や修繕の履歴、耐震基準の適合状況 |
築年数そのものは変えられませんが、これまでどう維持してきたかは売却時の評価につながります。設備交換や修繕の履歴を整理しておくと、購入希望者に安心感を与えやすくなります。
買い手は耐震基準と住宅ローン控除も見ている
築年数が古い物件を検討する買い手が特に気にするのが、耐震性と住宅ローン控除が使えるかどうかです。ここを押さえておくと、築古物件でも需要を見込めるかどうかの判断がつきやすくなります。
耐震基準は1981年6月1日を境に大きく変わりました。この日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準にあたり、それ以前は旧耐震基準と呼ばれます。旧耐震の物件は地震への不安から敬遠されやすく、同じ立地でも買い手が絞られる傾向があります。自分の物件がどちらにあたるかは、売り出し方を考えるうえで確認しておきたいポイントです。
住宅ローン控除の要件も、買い手の動きに直結します。かつては築年数に制限があり、これを超えると買い手が控除を受けにくいため、築古物件は敬遠されがちでした。この築年数要件は2022年の税制改正で撤廃されています。
| 建物の構造 | 改正前の要件 | 改正後(2022年〜) |
| 木造など | 築20年以内 | 建築日が1982年1月1日以降なら築年数を問わず対象 |
| 耐火建築物(マンションなど) | 築25年以内 | 同上 |
現在は登記簿上の建築日が1982年1月1日以降であれば、買い手は築年数にかかわらず控除を受けられます。それ以前の建物でも、耐震基準適合証明書などを用意すれば対象になります。控除が使える物件は買い手が資金計画を立てやすく、築古であっても検討候補に入りやすくなります。
売却価格は築年数だけで決まるわけではない
築年数は価格に影響するものの、それだけで査定額が決まるわけではありません。同じ築15年の住宅でも、駅まで徒歩圏内の物件と郊外の物件では需要が異なります。周辺に学校や商業施設、病院がそろった地域は生活しやすく購入希望者も集まりやすいため、価格を維持しやすい傾向があります。
土地の形状や日当たり、前面道路の幅員も査定の対象です。建物の状態が同程度でも、敷地条件で評価が変わることは珍しくありません。
室内の使い方も価格に響きます。壁や床の傷みが少なく、水回りがきれいに使われている住宅は内覧時の印象が良く、購入を前向きに検討してもらいやすくなります。築年数だけに目を向けず、物件全体の魅力を整理したうえで売却活動を進めましょう。
築年数が古くても売れやすい不動産の特徴
築年数が経った住宅でも、条件によっては十分に需要があります。立地条件が良い物件はもちろん、適切なメンテナンスが行われてきた住宅も評価されやすい傾向です。外壁や屋根の補修を定期的に行っていたり、給湯器や水回り設備を交換していたりすると、購入後すぐに大きな修繕が必要になる可能性が低いと判断されることがあります。新耐震基準を満たしている点も、買い手の不安を和らげる材料になります。
建物ではなく土地を目的に購入するケースもあります。建て替えを前提に土地を探している人にとっては、建物の築年数よりも立地や敷地の広さが重要になることも少なくありません。築年数だけを理由に売却を諦める必要はなく、まずは現在の市場でどの程度の需要があるかを確認しましょう。
売却前にリフォームは必要なのか
古く見えるからリフォームしてから売ったほうが高く売れるのでは、と考える方もいます。
しかし、購入希望者の中には、自分の好みに合わせてリフォームやリノベーションをしたいと考える人もいます。その場合、売主が費用をかけて内装を新しくしても、その分を売却価格へ上乗せできるとは限りません。
設備が故障している、雨漏りがあるなど、そのままでは売却活動に支障が出る不具合は修繕を検討したほうがよいでしょう。一方、壁紙や床材を全面的に張り替えるような大掛かりな工事は、費用とのバランスを考える必要があります。迷ったときは査定を依頼した不動産会社へ相談し、市場の需要を踏まえて判断すると安心です。
売却を考え始めたら相場を確認しておく
不動産価格は築年数だけでなく、市場環境によっても変化します。購入希望者が多い時期は売却が進みやすくなりますが、市場が落ち着いている時期は販売期間が長くなることもあります。あと数年待てばもっと高く売れるかもしれないと考えても、思うような結果になるとは限りません。
一方、住み替えや相続、転勤など売却の理由がはっきりしている場合は、価格だけを追い続けるより、自分の予定に合わせて進めたほうが計画を立てやすくなります。売却を検討し始めた段階で査定を受ければ、現在の相場や周辺の取引状況が分かります。査定を受けても必ず売却する必要はなく、まず価格を把握し、その結果をもとに売る時期を考える方法でも十分です。
売り時に迷ったら早めに相談することが大切
不動産は高額な資産だからこそ、もっと良いタイミングがあるのではと迷ってしまうものです。しかし築年数は毎年増えていき、建物の価値だけを見れば時間が経つほど価格に影響する可能性があります。
売却を考え始めた段階で相談しておけば、市場の動きや地域の需要を踏まえた提案を受けられ、判断材料が増えます。急いで売る予定がなくても、現在の価値を知っておくことは今後の資産計画に役立ちます。
まとめ
不動産の売り時を考えるうえで、築年数は価格を左右する要素です。一戸建ては築20年前後、マンションは築25年前後が一つの目安になりますが、それだけで売却時期を決める必要はありません。立地や管理状態、修繕履歴、耐震基準、市場環境も査定額や買い手の反応に影響するため、物件全体を見ながら判断しましょう。
売却を検討し始めたら、まず査定を受けて現在の相場を把握しておくと、納得できるタイミングで売却しやすくなります。築年数だけにとらわれず、物件の状況と今後の予定を踏まえて判断することが、満足のいく売却につながります。
